天草市「本渡第一映劇」

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天草市の「本渡第一映劇」 フィルム映写で生き残り模索

=2011/11/18付 西日本新聞朝刊=

 天草市栄町の「本渡第一映劇」は県内で熊本市以外にある唯一の単館系映画館だ。スクリーン一つ、116席。フィルム映写機がカタカタと回る昔ながらの映画館が今、押し寄せるデジタル化の波の前に存亡の機に立たされている。

 1998年、休館中だった映画館を自費で改装し、常設館として再開させた代表・柿久和範さん(50)の表情は厳しい。「あと1年の間に閉館も考えないといけないかもしれない」

 映画配給会社は大容量のデジタルメディアへの切り替えを進めている。フィルムは焼き増しや運送などにコストがかかるためだ。県興行生活衛生同業組合によると、大手シネマコンプレックス(複合型映画館)は2013年春にも全スクリーンをデジタル化する。それに伴い、配給会社はフィルム版をやめる方向という。

 フィルム映写機のままでは、新作はいずれ上映できなくなる。本渡第一映劇は封切りから一定期間が過ぎた作品を上映する「二番館」だが、今夏は「ハリーポッター」完結編を同時公開、10週間で観客約千人を集め意地を見せたはずだった。

 デジタル化費用は約1千万円。レンタルDVDやシネコンに観客を奪われている小さな映画館には大きな負担だ。似たような環境の「諫早パルファン」(長崎県諫早市)は観客減で10月末で休館。一方で第三セクター運営の「リナシアター」(鹿児島県鹿屋市)は補助金などでのデジタル化を検討しているという。

 「現状では困難」という柿久さんは、フィルム映写機を回す映画館としての生き残りを模索する。「天草に行けばフィルム映画がまだ見られると、PRできるのではないか」と。

 1999年から始めた毎年恒例の映画祭は、今年も12月1日まで新旧14本を週替わりで上映中だ。ファンの一人、天草市の田尻小菊さん(66)は「小さくても街に映画館があるのは幸せなこと。見に来ることで応援したい」と語る。

 柿久さんの思いは一つ。「映画館は地域の文化だと思う。その灯だけは消したくない」

天草市「本渡第一映劇」
http://daiichieigeki.iinaa.net/


現実的な問題として、映画館によっては、VPF契約の対象範囲とされない所も出てきていて、その場合は、デジタルシネマ化の選択肢としては購入(約1千万円)ということになってきますが。

しかし、デジタル化費用に約1千万円かかるDCP上映設備一式の導入でなくても、廉価な代替的なかたちでのデジタルシネマ化(DLPプロジェクター約200万程度+DCPサーバー約150万円程度)がアップリンクの浅井さんによって提案されていますね。
http://www.webdice.jp/diary/detail/6537/

また、35mm映写が続けていけるのかは、作品のフィルムでの貸出しを受けられるか、次第ということでもあります。

ひいては、根本的なこととして、観客層を確保できるかどうか、という問題でもありますね。

条件的に人口10万人未満の場合、映画館としては容易ではない環境であるのは事実です。(天草市の人口 91,414人 2011年現在)

とはいえ、その町から映画館が無くなってしまったら、映画が見られなくなるというだけでなく、「映画館もないような町でなく、もっと都会に住みたい」と思う人もいるかもしれません。

公的助成や一般からのサポートが必要とされるでしょう。

応援していきたいですね。

(人口10万人以上の都市でのミニシアターの存続というのも何かと容易ではない問題ですが、状況が厳しくなってきた時に、より弱いところから問題が顕在化してくるということが、今まさに起こっています。
また、これは天草市だけのことではなく各地で起こることでもあります。)