福岡で起こっていること−日本の映画館状況の縮図

これは他人事ではないですね。

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/273737

天神の名画座に花道 ソラリアシネマ今月閉館 九大生ら上映会
=2011/11/17付 西日本新聞夕刊=

「映画館で鑑賞することの良さを伝えたい」と意気込む「シネマノマド」メンバーとソラリアシネマのスタッフ=福岡市・天神のソラリアシネマ

 名画のリバイバルや個性的な小品上映に定評のある福岡市・天神の「ソラリアシネマ」が今月限りで22年の歴史に幕を下ろす。近年は芸術性の高い作品を上映し、シネマコンプレックス(複合型映画館)に対抗してきたが力尽きた。市内では特色のある名画座やミニシアターの閉館が相次いでいる。九大生らの映画研究会「シネマノマド」は「派手さはなくても良質の作品に出合える映画館を大切にしたい」と、18日から同シネマで自主上映会を開く。 

 ソラリアシネマは1989年3月、東宝系洋画の封切り館としてソラリアプラザに開業。3つのスクリーンを備え、ピークの94年には年44万3000人を集めた。

 96年に当時国内最大級のシネコンキャナルシティ博多に開業し、競合が激化。2009年には東宝との契約を解消し、大手映画会社からの配給ではなく、自前で選んだ作品を上映する単館系映画館に衣替えした。しかし、レンタルDVDやケーブルテレビの普及もあって、来館者は年約20万人(10年)に減少、閉館が決まった。

 シネマノマドにとって閉館は衝撃だった。約10人のメンバーは映画好きが高じて市内のミニシアターでアルバイトしていたが、昨年10月に天神の成人映画館「天神シネマ」(旧シネテリエ天神)が閉館し、今年5月には博多区の「シネ・リーブル博多駅」も閉館。市内に残る単館系ミニシアターは中央区那の津の「KBCシネマ」だけだ。同館で働く九大芸術工学部3年の坂井健一郎さん(21)は「単館系作品の上映機会が減り、良作をじっくり味わえなくなった」と嘆く。

 「場所がなくなるなら、自分たちで環境をつくろう」。メンバーは、福岡県朝倉市出身のミュージシャン倉地久美夫さんを追った音楽ドキュメンタリー「庭にお願い」の上映を企画。製作者と直接交渉し、ソラリアシネマの協力も得て、同館での上映が決まった。

 この作品は、県内では天神シネマ閉館時の一度しか上映されていない。坂井さんらは「有名俳優が出なくても、ドラマの映画化でなくても、見れば良さが分かる。映画を見ることが自分の体験の一部になる感覚を味わってほしい」と話している。

 上映会は18−26日(20、23日を除く)の計7日間、毎回午後9時10分から。前売り1200円、当日1500円。