11/24シンポジウムの経緯

11/24シンポジウムの予習として、ここまでの経緯のまとめです、ご参考まで。


※参考「日本におけるVPFの仕組みについて」文化通信 8/3付
http://www.bunkatsushin.com/varieties/article.aspx?id=1209


■10/24 独立系映画事業者合同ミーティングが行われる。

<デジタル化による日本における映画文化のミライについて>Part 1
詳細→ http://www.facebook.com/groups/173891869366077/doc/173892086032722/

独立系事業者がデジタル化問題会議
2011年10月26日 文化通信
 
映画館のデジタル化に伴う諸問題をめぐって、独立系映画事業者(製作・配給・興行)が24日、映画美学校で合同ミーティングを行い、多くの参加者があった。

 VPFスキームを活用した映画館のデジタル化は、今年に入って一気に進み、2013年には全国の殆どの映画館がデジタル化されるとの予測もある。そんな中、VPFスキームが独立系映画事業者にとってどんなメリットがあるのか、また、別の形で事業を継続していく方法はあるのかなど、解決の糸口を探るべく、この会合は開催された。

 当日は、3段階に分けて進行。(1)VPFスキームが及ぼす独立系映画事業者への影響について、問題を提起し、(2)デジタル時代における独立系映画事業者の短期的な対応と、長期的な解決策の提案を行い、(3)最後にフリーディスカッションで活発な意見交換を行った。

(1)冒頭、コミュニティシネマセンター伊藤重樹氏が、VPFスキームの概要について説明。続いて、田井肇シネマ5支配人(興行)、武井みゆきムヴィオラ代表(配給)、佐々木史郎オフィス・シロウズ代表(製作)が順に登壇し、それぞれの立場から、デジタル化に伴う問題点を挙げた。ここまでの要点は、以下のとおりとなる。

▽VPFは全国一斉公開の作品には有利だが、プリントを順次回していくような独立系配給会社は、逆にコスト高になる▽10年契約で途中解約時は反則金が発生するVPFスキームは、独立系映画館にとって負担が重く、番組編成面においても上映作品の幅が狭まってしまう▽独立系映画館が、VPFに頼らずに自前で1スクリーンにつき1000万円規模のデジタル化費用を捻出することは不可能▽近い将来、映画館が100館単位で廃業し、ここが受け皿だった映画100本が日本公開されなくなる。

(2)まず短期的な対応について、浅井隆アップリンク代表が説明。独立系映画館がDCI非準拠のプロジェクターで、ブルーレイ上映を行うことは常態化しているが、この既存のプロジェクターを活用する方法がある。ドレミやドルビーのサーバーをつないで、DCPを上映することは可能。新規購入はサーバーのみで、ドレミの場合は200万円以下で済む。また、独立系配給会社にとってはDCPの制作コストが課題だが、この日紹介された台湾の現像所では、日本の現像所に比べて安価で制作できる。

 一方、長期的な解決策として山崎裕也インフィアム代表が提案したのは、DCI非準拠ながらも低コストの独自上映システムを開発すること。山崎氏自身が数年前、民生用の機器をベースに開発したサーバーとプロジェクターの試作機が実例として挙げられた。独自規格を開発できれば、プロジェクターやサーバーを数万円から数十万円で導入でき、トータルで月額1〜3万円程度で済むとの見方を示した。また、現在の上映素材を作るまでの作業工程を見直すことで、大幅な経費削減が可能であり、その削減分を映画館のデジタル化費用に充てる手もあるとした。

(3)フリーディスカッションは、シネマ5の田井支配人と、コミュニティシネマセンター堀越謙三代表理事を中心に展開。田井氏は「安いに越したことはないが、映画館にとって実際にいくらかかるのか。方向性としては、何らかの補助を得ることを考えたい。とはいえ、国民の総意がないと、税金は使えない。最大の問題は、観客が何も知らない間に、映画を見る機会が失われてしまうことであり、映画文化の損失と言える。何らかの世論を形成し、多様な映画を上映する環境を破壊しないように訴えるしかない」と力を込めた。堀越氏も「経産省が費用の3分の2を助成し、2年で80館くらいがデジタル化できたが、我々の考えていたよりも早く、この問題が進んでいる。現在、全国に3500スクリーンくらいある中で、独立系は約300。これらが、映画館を続けるか否かを決める段階に来ている。配給と興行の全体に通じるテーマであり、今日は双方が集まって話し合いをする最初の場」と強調した。

 参加した若松孝二監督は「単館ロードがなくなると、僕は本当に困る。文化庁は1、2館でしか上映しない映画にも製作費1000万円を助成するが、僕は、製作費ではなく、映画館のためにお金を出すように言っている。文化庁は映画館を泣かさないでほしい。かつて僕が立ち上がりフィルム・コミッションが全国に広まったように、この問題でも誰かが立ち上がらないといけない。劇場よ、立ち上がれ、怒りなさい」と発破をかけた。

 今回初開催となった独立系映画事業者による合同ミーティングは次回、第12回東京フィルメックス(11月19〜27日)に、議論の場が持ち越される。田井氏は「今日の内容をまとめて、フィルメックスで一般の人に向けてアピールしたい。興行も配給も目指しているところは一緒。シネコン優先で話が進んでいるが、これを機に大逆転できる何かを考えたい」と述べ、独立系事業者間の横の連携を強化し、共同歩調をとることの重要性を訴えた。

■10/25 Facebookにて「独立系映画事業者ネットワーク(仮)」グループが作られる。
http://www.facebook.com/groups/173891869366077/

アップリンク浅井隆氏による「DLPプロジェクター+DCPサーバー」の提案。
http://www.webdice.jp/diary/detail/6537/


■11/17 シネレボ!ブログとツィッターが始動。
デジタル・シネマ化が進行中、映画の多様性は保たれるのか?
詳細→ http://d.hatena.ne.jp/cinerevo/20111116/1321461907


■11/24 公開シンポジウム
<デジタル化による日本における映画文化のミライについてPart 2>開催
11月24日(木)12:00〜13:45
・第12回東京フィルメックス有楽町朝日ホールスクエアBにて
・入場無料・先着順/どなたでも参加いただけます。
詳細→ http://d.hatena.ne.jp/cinerevo/20111116/p1

・第1部 プレゼンテーション<国内外での問題・対策> 
「デジタル化による、映画の多様性の危機について、日本における現状報告」
 田井肇(大分シネマ5)
 
「ヨーロッパにおけるVPF問題の事例報告」
 工藤雅子
 
・第2部 トークセッション<映画の多様性を守ろう!>
 
前半:登壇者 :古賀太(司会:日大芸術学部映画学科教授)、田井肇(大分シネマ5)、瀬々敬久(映画監督)ほか

Ustreamによる中継を予定しています。チャンネルは下記にて。
http://www.ustream.tv/channel/cinerevo-digital-cinema-future-part2

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